客観視する習慣を身につけよう
1994年のシーズンにおいて、入団3年目のイチローは前人未踏の210安打を達成、首位打者を獲得すると共にその年のMVPに選出された。シーズン前には800万円だった年俸は一気に8000万円までアップする。
その翌年にも首位打者を獲得する活躍を見せたイチローは、オリクッスを優勝に導き、その年俸は1億6000万円となった。
94年から96年までの自分が見えていない経験からは、「客観的に自分を見なければいけない」という結論に達したんですね。自分はいま、ここにいる。でも、自分の斜め上にはもう一人自分がいて、その目で自分がしっかりと地に足がついているかどうか、ちゃんと見ていなければいけない。そう思ったんです。
うまくいったら狂喜し、失敗したら落ち込む。そんな態度では一流であり続けることはできない。成功した自分、失敗した自分を冷静に観察し、次への行動計画を立てることが、飛躍への糸口となるのだ。
クールに喜ぼう
1995年にパ・リーグを制覇した仰木監督率いるオリックスは、日本シリーズで野村監督率いるヤクルトと雌雄を決する。
4、5日ちょっとダメだからといって、1年間やってきたことがダメになるなんて思わない。
残念ながら1勝4敗で日本シリーズに敗れてしまったイチローは、翌日の会見でこのように語っている。
目の前の結果に一喜一憂するのではなく、自分で自分を観察できる冷静な視点を持つことで、高い自己分析力を育むことが可能となる。その姿勢はスポーツに限らず、あらゆる分野の一流の人間に必要とされるものではないだろうか。
自分を客観視できる目が、物事との適正な距離を生んで、どのような状況にあったとしても、冷静な判断力と平常心を保持することができるのだ。冷静であることについて、イチローは次のようにも述べている。
精神的なレベルが高い選手は、ガッツポーズをしたり、叫んだり、悔しがったりして感情を表に出したりしないものです。
起こった事実をありのまま受け止めて、自らに起こったいいいことも悪いことも平等に扱う習慣を持とう。そのような姿勢を貫くことによって、常に冷静な心理状態を維持できるようになれば、自ずと仕事の質は一流のものへと近づいていくはずだ。
シマケン【依存脱出ナビゲイター】
自らが、酒・たばこ・ギャンブルなどの様々な依存を克服してきた体験をもとに、依存脱出の手段を多くの人に伝える活動を行っている。