場の空気をメタ認知で読む
職場で「イタい」と評される人は、一般的に「空気が読めない」とされている。しかし、実はそれ以前に、「論理思考」が苦手なケースが多い。
論理思考にはさまざまな要素があるが、広義には、メタ認知と呼ばれる、高次の視点から物事を俯瞰(ふかん)する物の見方を含む。メタ認知で最も意識すべき対象は自分であり、まずは自分がその場でどのように見られているかを、客観的に自分自身を見ることで把握することが重要になってくる。
箸はキレイに持ちたい。力が入ってガチっと握ったら、キレイじゃない。やわらかく握ったほうがしなやかに見えるはずなんです。アスリートが、箸をキレイに持つというのが、いいじゃないですか。アスリートがゴツゴツした手で豪快に食べたら、想像通りで、面白くないでしょう。
華麗なバットコントロールやグラブさばき、そして走塁など、どんな場面においてもイチローは美しさを追求する。第三者に見られているという感覚は、パフォーマンスに大きな影響を与えている。
人には、自分で自分のことを知り、それをコントロールする力がある。頭のなかにいるもう一人の自分が、自分のことを客観視する能力は、周囲の期待するパフォーマンスを発揮することに役立つのである。
とりあえず仕事に行く
イチローは常に自らをメタ認知することによって、ファンの期待を理解し、それを超えるパフォーマンスにチャレンジしている。これをビジネスに応用するのであれば、「あなたのファン」のことを片時も忘れずに仕事に向き合おう。
「あなたのファン」とは、あなたの仕事にとっての顧客である。あるいは得意先の担当者かもしれない。それらの人々を魅了するような感動的な仕事を心掛ける習慣が、あなたを一流へと育てあげる。
僕もグランドに行きたくない日はたくさんあります。そのときには職業意識が出てきます。「仕事だからしょうがない」と、自分に言い聞かせるときもあるのです。
時には仕事へ行きたくないと思うこともあるだろう。それでもとりあえず仕事にいってみよう。イチローですら仕事に向かうことに気が重くなるときがあるのだから。
仕事に行けば、「あなたのファン」が待っている。行きたくなくてもその場に行く習慣をつけることによって、あなたの意識は自分に向かってだけではなく、あなたを支えてくれる人たちへと向かっていく。
気分が乗らなくても、高い視点から自らを見つめ、やるべきものを成し遂げていこう。
シマケン【依存脱出ナビゲイター】
自らが、酒・たばこ・ギャンブルなどの様々な依存を克服してきた体験をもとに、依存脱出の手段を多くの人に伝える活動を行っている。